西武2000系方向幕 雑学 | |||
方向幕とは 電車の行き先や種別を表示する機械を方向幕といい、電車の前面や側面に設置されています。方向幕は通常、行き先が印刷された幕とこの幕を動かす表示器により構成されています。 近年、行き先や種別の表示方法が変更され、カラーLEDやフルカラーLEDによる表示が主流となりつつありますが、このカテゴリーでは西武2000系における「幕」と「表示器」による「方向幕」を扱いたいと思います。 西武2000系では、電車前面中央に「前面方向幕」が、前面の向かって左側に「種別幕」が、各車両の両側面に「側面方向幕」が設置されています。 |
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「前面方向幕」考察 前面方向幕の表面は、当然ながら方向幕の表示部分ですが、裏面は表示器などの操作をするためのスイッチなとが配されている。 表示器の構成は、幕を回転させるための「電動機」、幕を表示するための「蛍光灯」、「バーコード読み取り機」、「制御器」らしきものとこれらに分配する「端子」、端子から巻取機外に配線をつなげるための「コネクタ(アダプタ)」となっています。 各機器はコンパクトにまとめられて一ヶ所に設置されており、この設置板は開閉可能で幕や蛍光灯の交換が容易な構造である。この機械本体を「表示器」という。 |
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電動機 巻取機になくてはならない「電動機」は所謂(いわゆる)モーター。この電動機は、ORIENTAL MOTOR社製の2JR4GA-Aシリーズで、「クラッチ」を介してチェーンにより幕が取り付けられたドラム端部にある歯車を回転駆動させ、その回転により幕が上下して「行き先」が表示される。 電動機とチェーンを駆動させる歯車との接合部はクラッチレバーによりクラッチを「入/切」することができる。 このクラッチレバー、注記には「電動機が不能な場合、クラッチレバを「切」にして手でドラムを回転するよう」記載されている。これは、通電されていない場合のドラムの操作要領と通電されている場合の幕取り替え作業時における誤操作防止の観点で記載されているものと推察できる。 |
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蛍光灯 単なる蛍光灯なのであまり大仰に解説することもないのですが… 20ワットの580mm規格を使用しています。三菱では、「MITSUBISHI ネオルミスーパー FL20SW」のスタータ形 白色 蛍光ランプという商品名で売っています。ちなみにお値段は100円程度でした。 他にもNECでは、「NEC ライフライン ラピッドスタート 白色 FLR20SW/M」という商品名でした。 蛍光灯の着脱方法は家庭用の蛍光灯と同一で、蛍光灯の両端をソケットに差し込んでから蛍光灯を回転させるやり方です。 機械によってはソケットが堅く回転しづらいものもあると思います。 ※くれぐれもツナギは自己責任でお願いいたします。事故などありましても当方責任を負いかねます。 |
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端子 表示器の外からコネクタを介して電源などの線が配され、この「端子」によって表示器の各機器に分配される。 端子には8ヶ所の接続部分があるのだが使用されるのは6ヶ所。上から×、×、Uo、Vo、S、V、U、U’の順である。なおこの各端子のツナギは今のところ不明であるが、Vは主電源に、Uは電動機に、U’は蛍光灯にそれぞれつながっていると思われる。 画像は、コンセントに接続した電源ケーブル(2線)を、それぞれ「V端子」と「U’端子」に接続した状態。端子が取り付けられた設置板奥のドラム周辺が蛍光灯の点灯により明るくなっているのが分かる。 このときは実験の段階であったので、おそるおそる電源コンセントの2線のみを端子に接続し、このあと電動機を動かすための実験として「V端子」に接続した電源ケーブル1線はそのままとして、もう1線を「U端子」に接続させた。すると蛍光灯は当然消灯し、替わりに電動機を手動スイッチにより動かすことが出来た。 ※くどいようですがくれぐれもツナギは自己責任でお願いいたします。事故などありましても当方責任を負いかねます。 |
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コネクタ@ 表示器外からの電源等の配線を接続するために「コネクタ」がある。このコネクタ、七星科学研究所が製作する「SCH−308−Ad」というアダプタ。このアダプタに適合するアダプタが、探すのに四苦八苦した「NCS-308-AdF」。電気店の人に「メーカーロゴはどこかに絶対ある!」と言われたがどこを探してもなく、路頭に迷ってしまい一か八か賭で購入したこのアダプタ、みごと接合することが出来て狂喜乱舞したのを覚えている。 ちなみに後日、表示器側のコネクタをよく見ると、しっかりロゴが刻印され思わず空笑いが出た。画像がそのロゴである。 こんなところにロゴが!! |
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コネクタA 端子のコーナーで触れた電源コードの結線。表示器側のネクタのビン番号に対応する端子は、端子上から「Uoが2番」、「Voが4番」、「Sが5番」、「Vが8番」、「Uが1番」、「U’が6番」となっている。これはテスターを当てればすぐ分かるので問題はありません。 電源ケーブルを直に端子に接続しても表示器の動作には問題はないのだが、ここは「それらしく」見せるためにあえて、コネクタに電源ケーブルを繋げます。本来でしたらコネクタは指令器からのコードが繋がれています。 電源ケーブルは、2線からなるので片方の1線を2線に分配させます。分配方法は、「西武2000系側面方向幕」で語ったとおりですので参考にしてください。これで合計3線となったわけですが、見やすいように線の色を変えました。「白色」は元々の電源ケーブルの線で、分配したものを「赤・黒」の色にしました。白色を「8」に、「赤・黒」色を「1(電動機)」と、「6(蛍光灯)」にそれぞれハンダ付けしました。画像を参考にしてください。 なおこのアダプタは逆芯タイプなのだそう。購入時はご注意をお願いいたします。また、駄目押しですがくれぐれも配線は自己責任で。 |
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スイッチ 指令器があれば使用する必要のない「電源スイッチ」と「手動スイッチ」。どの種類の表示器にもこのスイッチは設置されている。電源スイッチは「ON」と「OFF」が、手動スイッチには「上巻」と「下巻」が表示されこれは各表示器とも共通している。 このスイッチの操作方法だが、指令器を使用する場合は電源を「ON」にすれば自動的に表示する。しかし、幕の取り替えなど表示器単独で操作する場合で通電されているときは、電源スイッチを「OFF」にし、かつクラッチレバーが「入」になっていることを確認して、手動スイッチを回したい方向に上下させればスイッチを作動させているだけ回転させることが出来き手を離せば停止する構造となっている。 手動スイッチは、バーコード読み取り機と連動していないのでスイッチから手を離すと幕は途中で停止する。 |
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指令器 方向幕を語る上でなくてはならないのがこの「指令器」である。画像は2000系の指令器だが、どこにも「指令器」の銘板はない。もしかしたら機械の内側にあるのかもしれない。指令器の操作盤には、種別・行き先設定をすることが出来る「ダイヤル」と、編成の各車両の方向幕を分割表示設定することの出来る「ツマミ」がある。 この指令器で「種別」と「前面の行き先」を設定することが出来るのは理解できるが、「側面の行き先」が設定できる理由がよく分からない。というのも、種別と前面の行き先はダイレクトに番号をダイヤルすればその通りに表示できるが、側面は「種別と行き先」の複合された幕であるからだ。 単純に考えると、「種別」の番号と「行き先」の番号を、側面の「種別・行き先」に反映していることが推測できるのだが、ればかりは制御器を解析しないことには理解不可能であろう。 |
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種別幕 行き先前面方向幕の表示器とほぼ同一の形状をした「種別幕」の表示器。見てのとおり高さは同一であるが幅が「行き先」の表示器に比べ若干狭くなっている。しかしながら蛍光灯は「行き先」表示器と同一規格のものを使用するため、蛍光灯機器の両端が突出しているのが特徴となっている。 また、コネクタと端子の関係も「行き先」表示器と同一であるので、自作の電源コードを流用して使用することが出来る。 |
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側面方向幕 側面の表示器は、前面行き先表示器と種別表示器とほぼ同一の機器を使用しているが、決定的に異なっているのは「端子」がないことである。ゆえにコネクタのピン番号と「端子」との関係がテスタで解析できないので電動させるのに非常に苦労する。 また前面用のコネクタと異なり、側面用のコネクタは径とピン数が「257」の型番で分かるように「25径」で「7ピン」となっています。 詳しくは「側面方向幕」に記載しているのでこちらをご覧ください。 |
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